マクラーレン

この会社の本体は、マクラーレングループと言われていて、レーシング部門と市販スポーツカー部門に分かれています。
レーシング部門は、1963年に設立され、アメリカのインディーカー・シリーズやF1世界選手権に長年参戦し、現在でもその伝統と人気は不動のものがあります。
もう一つのマクラーレン・オートモーティブは2009年に設立されました。
オートモーティブが始めてクルマを制作したのは、1994の「F1」という全席3人乗りのスーパーカーでした。
設計したのは、イギリスの鬼才と言われるゴードン・マレーです。
このF1は翌年のルマン・24時間レースに出場して、総合優勝してしまいます。
かなり予想外の出来事だったので、この市販車も一夜にして伝説的な存在になりました。
市販車の「F1」の当時の発売価格は約1億円といわれ、現在ではその数倍の価値があります。
オートモーティブは、2009年に本格的にスーパーカーの販売を始めました。
ライバルは、伝統のあるフェラーリやランボルギーニやポルシェなどの世界の高級スポーツカーメーカーです。
そこでこのメーカーは、MP4-12Cを世に出しました。
エンジンは3.8リッターのV8エンジンで、最高出力は600馬力近く出ていました。
国内では、日産GT-Rが3.8リッターV6エンジンで480馬力ほどだったので、かなりの高出力なクルマでした。
そして、レース屋としての技術が惜しみなく搭載されたこのクルマは、搭乗してすぐに世界中で認められることになります。
常識では、半世紀以上も不動の人気のあるフェラーリやポルシェのようなブランドと、設立して間もないメーカーが並ぶ事は不可能ですが、マクラーレンはレースでの実績では伝説的な存在でした。
そのため、世界中の自動車愛好家に認められるクルマとなったのです。
この会社に対する世間のイメージは、「完璧主義者の集団」というものです。
またこの会社は、日本人以上に几帳面で、世界トップクラスの技術者集団の集まりでもあります。
鬼才ゴードン・マレーが設計した「F1」では、ネジ一つの重さも正確に計算して、もっとも軽量になるように設計されています。
そして、エンジンや車体、エアロダイナミズムなどあらゆるところが完璧に設計されています。
そのため、マクラーレンはフェラーリやランボルギーニのように情熱的でないと言われる事もあります。
確かに、そのクルマのサウンドを聞いても、イタリアのフェラーリやランボルギーニは情熱的なサウンドを発します。
一方、マクラーレンのクルマは、低く唸るようなサウンドで途轍もない加速でクルマを走らせます。
このメーカーは、完璧主義者ではありますが、むやみに限界を超えるような無理はせず、常に科学的に成立する「すべてのものに理由がある」という理念によって動いています。
これは、元日産R35GT-Rを開発した水野和敏氏と同じ考え方です。
彼は日本人離れした考えを持っていたからこそ、世界に認められるクルマを開発することができました。
そして、この会社も常にこの原則に従って、新しいイノベーションに取り組んでいます。
マクラーレンがここまで伝説的なメーカーになったのは、世界三大レースであるF1・インディ500・ルマン24時間レースの全てを制覇した、世界で唯一のメーカーでもあるからです。
2020年現在も、世界のレースで活躍し、市販車であるスーパーカーも次々と新型車を発表しています。
鬼才ゴードン・マレーも、2020年に世界を驚かすクルマを発表して世間を驚かせています。
これからも、この稀代のメーカーの、モータースポーツ活動やスポーツカー開発などからは目が離せません。