アストンマーティン

アストンマーティンはイギリスの高級車ブランドです。
1世紀を超える長い歴史の中で自動車業界において存在感を示してきました。
創業当初から変わらない高級路線を踏襲しており、英国らしい気品あふれるデザインと高いクオリティーを兼ね揃えているのが特徴です。
歴史の始まりは1913年に設立された、バムフォード・アンド・マーティンがルーツとなっています。
1915年にはいよいよ第一号車が完成し、イギリスの登板レースに出場することに。
そこで成功をおさめたため、レース開催地の名前をとって「アストンマーティン」が誕生したのです。
ただし以降は波乱の連続でした。
創設メンバーの一人が1924年にレーシングアクシデントで死去すると、あえなく倒産。
何とか復帰してル・マン24時間耐久などで成果をあげるも、1932年には効率度外視の経営姿勢が災いし、深刻な経営危機を迎えます。
その後も第二次世界大戦の勃発やオイルショックの影響を被り、何度も危機に陥りました。
危ない状況が続きましたが、フォードに買収されたりダイムラーと提携したりして、現在に至ります。
なお車名にDBがついていますが、これは第二次世界大戦後に実業家・デイヴィッド・ブラウンに買収されたのがきっかけです。
彼の頭文字をとってDBと付ける伝統が生まれ、今日まで息づいています。
このようなアップダウンの激しい経営事情とは裏腹に、作り上げられるマシンは秀逸なものが多数です。
人気映画007シリーズでは度々、ボンドカーとして選ばれてきました。
流れるような美しいフォルムと、気品あふれるフロントフェイス、走行性能も高度な水準にあります。
やはり長きにわたってモータースポーツに取り組んでいたことがあり、流線型のデザインや走りの評価は高めです。
現行車種としてはDB11が人気モデルとなります。
2016年に登場したマシンで、伝統と革新が折り重なったような気品あるデザインが魅力。
ややクラシカルなフロントフェイスですが、オーバーハングが少ない近代的な設計と、サイドに鋭く伸びるダクトも先進性を感じさせます。
エンジンは5.2リッターのV12の他に、ベンツ製の4.0リッターも用意。
後者は従来より150㎏もの重量削減を達成しており、走りに後見しているようです。
DB11を基礎にして登場した、同ブランドの量産車としては史上最速のマシン「DBSスーパーレッジェーラ」も要注目です。
同社のフラッグシップとして君臨しており、価格は過去最高。
基礎となったDB11とはかけ離れた走行性能を与えられています。
軽量化されたボディには最大で180kgと強力なダウンフォースを発生さる、空力メカニズムが満載されているのが特徴です。
アストンマーティンは新型車もですが、クラシックカーの愛好家からも熱烈な支持を集めており、レストア事業にも力を入れています。
かなり古い車種でも修理して走らせる体制が整っており、今のところですと過去に販売した車の90パーセントほどが実働に耐えるとされています。
もともと英国は車を長く乗る傾向があり、祖父の車を孫が引き継ぐようなケースもありますが、それにしてもアストンマーティンの取り組みはずば抜けた印象が感じられるでしょう。
旧車としてはボンドカーにも選ばれて知名度の高いDB5などが人気です。
現在は欧州を中心にガソリン自動車は走れなくなる恐れが深刻化していますが、アストンマーティンはこの流れを利用する形で、クラシックモデルの電気自動車化を進めています。
もし内燃機関が登録禁止になっても、EVに改造して乗り続けられるようサポートするのが目的です。
このように伝統を守り旧車も大事にしながら、革新的な取り組みを進めるのがアストンマーティンの魅力。
日本メーカーは勿論、他の高級車ブランドに比べても変わった取り組みも多く、今後も注目を集めることになりそうです。